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□ エリーシア戦記71 □

71-1

第71章 常套手段


【神聖紀1235年5月初旬】
 ソルトハーゲン要塞――。
 アルティガルド王国西部に、ウェーデリア山脈の最西端とセブリ山脈北端を抜けて、カイマルクに通じているソルトハーゲン街道がある。
 この街道を守る『ソルトハーゲン要塞』に、ロックハート将軍が率いる1万3千の軍勢が押し寄せていた。
「斉射三連!」
 城壁に向けて、矢を放つ。しかし、要塞側は、徹底的に守りを固めて小揺るぎもしない。
「もはやこれまで」
 その後、ロックハートは、攻勢を断念したように、後方のカイマルク方面へ撤退を始めた。
 直ちに、ソルトハーゲン要塞司令官『ルートガー・ナースホルン』は、追撃を命じる。
「全軍反転、迎撃せよ!」
 ロックハートは、予め、街道の脇に伏兵を配置していた。アルティガルド軍要塞から引きずり出して、一挙に決戦を挑むつもりである。
 しかし、罠だと悟ったルートガーは、剣を投げ捨てて、指揮すべき部下も置き去りにして、慌てて要塞に逃げ帰った。
「逃がすな、追え!!」
 ロックハートは懸命に追撃したが、大きな戦果を挙げることはできなかった。
 以後、ルートガーは、どんな挑発にも動かず、堅牢な城門の奥に逼塞してしまう。
「ええい、忌々しい」
 ロックハートの思惑は外れ、戦局は膠着状態に陥った。

 ホークブルグ要塞――。
 セブリ山脈南端とモンベルの森の間には、サイアに至るホークブルグ街道がある。
 この街道を守る『ホークブルグ要塞』に、アレックス、アウツシュタイン両将軍の軍勢約2万5千が進撃していた。
「労を惜しむな」 
 アレックスとアウツシュタインは、要塞の正面に土塁と柵を巡らし、向かい合うように陣城を次々に築いていく。
「投石せよ」
 そして、大型の投石機を並べて、昼夜を問わず断続的に巨石を放り込む。
 しかし、100メートルを超える堀と二重の城壁で守られた要塞はびくともしない。
「後方に豊かなサイアがあるのだ。惜しむことはない。物量で押せ」
 アーカス出身のアレックスは、容赦なく言い放つ。こうして持久戦が続いていく。

 バルバブランツァ要塞――。
 アルティガルド軍は、サリスに対する防衛線をフリーズ大河とし、『バルバブランツァ要塞』を中心に、各要塞は連携して防御を固めている。
 対してサリス軍は、リューフ総帥が、ルグランジェ、セシル両将軍を従えて、約3万の軍勢で攻め込んでいた。
 小競り合いもなく、睨み合いは一か月に及ぶ。
 防衛線は鉄壁であり、リューフは攻めあぐねているように思われ、アルティガルド軍将兵もやや消極的になっていた。
 その時、月のない夜、暗みに乗じて、ルグランジェ軍約一万が、強引に渡河して、大河沿岸を守る砦に襲いかかる。守備兵は千人に満たない。
 直ちに、バルバブランツァ要塞から救援が向かう。
 それを側背から奇襲しようと、リューフは本隊を伏兵として森に隠した。しかし、地の利のあるアルティガルド軍司令官は、これを看破した。そして、この状況を逆に利用して、サリス軍は撃破しようと決断する。
 救援軍は、急遽進路を変えて、リューフ本体に襲い掛かる。
「怯むな!」
 リューフは歩兵を密集され、前面にシールドを並べ、その隙間から槍を衝き出させて防ぐ。まるで亀のように徹底して防御を固めている。
 数で圧倒しようと、アルティガルド軍が殺到する。
 激戦は数時間続く。リューフは森の地形を巧みに利用して、左右に回り込まれないように苦慮しつつ、粘り強く戦い続ける。幾度も前線を崩されそうになったが、辛抱強い指揮で、粛々と戦列を修復する。
 そして、ルグランジェ軍が、砦の攻撃を中止し、反転強行して、戦場に駆け付けた。
 背後を襲われて、アルティガルド軍は浮足立つ。
「反撃せよ!」
 リューフは、セシルの騎馬軍団に突撃を命じる。猛攻につぐ猛攻に疲れていたアルティガルド軍は、この挟撃に、成す術なく敗走する。
「深追いはするな!」
 リューフ軍は追撃をせず、アルティガルド軍の将兵は、バルバブランツァ要塞に帰還した。
 その後、より一層バルバブランツァ要塞に戦力を集中させ、城門を固く閉ざしてしまう。
「蟻の這い出る隙間もなくせ」
 リューフは、手薄になった要塞周辺の砦を次々に落とすと、自ら要塞正面に布陣し、搦め手をルグランジェに任せて、要塞を包み込むように陣城を築いていく。
 しかし、要塞内には、豊富な兵糧と十分な兵力があり、攻め手はない。再び戦局は膠着する。
「ここからが正面場だ。じっくりと行くぞ」
 リューフは、周辺の町や村を襲って、女や子供を拉致した。そして、城門の前に立てた磔柱に括り付ける。
「城内に父や夫や兄がおろう。干乾びる前に、声の限りで助けを求めよ」
 深く幅広い堀を挟んで、まさに阿鼻叫喚な世界が展開していた。
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Date:2013/07/20
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