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□ エリーシア戦記71 □

71-2

【5月中旬】
 ガブリ島――(第41章参照)。
 ルブラン市の沖30キロほど、ルブラン湾に宝石のような小島が浮かぶ。
 穏やかな波と白い砂浜、燦々と降り注ぐ太陽と水面を吹き抜ける涼風、人々を魅了して止まないエリーシア中原随一の避暑地である。
 最も風光明媚な丘には、ぐるりと螺旋状に上流貴族達の別荘が並んでいる。その最澄部に、スピノザ伯爵家の新しい別荘が、夏の盛りに向けて突貫工事を行っていた。
 特徴は、回廊で囲まれた人工池である。池の底には、古代遺跡が沈んでいて、その上に、クラシックな船が浮んでいる。
 その回廊を、ふくよかな中年女性とその従者が歩く。
「丘の上の館に船とは、奇抜ですね」
「サリス人の考えることは、常に非合理だ」
「誰の趣味でしょう」
「決まっておるわ!」
 まるで、その名を口にするのも忌々しそうに顔を顰める。
 彼女は、臙脂のスーツにベレー帽を被っている。この格好は彼女のトレードマークとして広く世間に知られている。
 アルティガルドの著名な文学者である。また、熱心なエリース教の信者で、偏狭な人権主義の論客として知られていた。最近では、ジークフリードのサロンに入り浸りで、彼の取り巻きの中心的存在となっていた。
 彼女らは、半円形の花園に至る。その先の階段の上に、巨漢と小柄な男が並んで待っている。
「ようこそ、我が別荘へ」
 フリオは、大きく両手を広げて、歓迎の意思を示す。そして、『ブリュースト港湾総督待遇予備役特別顧問』と自己紹介し、続けて、マックスが『ブリュースト要塞防衛司令官代理補佐並』と告げる。
「女神エリースのご加護があらんことを」
 彼女は、エリースへの祈りの言葉を唱えて、二人の挨拶に応える。
 三人がいるのは、市松模様のタイルが敷かれた半円形のテラスである。ここからは、ルブラン湾の美しい風景が一望できる。
「主君の趣向を反映した見事な離宮ですな。あの船は、カール大帝時代の物ですか?」
「な、なな、な、何のことでしょう。こ、こ、ここは、私の夏の別荘ですよ」
 フリオは、目が泳がせながらも、必死に平静を装い、どうにか言葉を紡ぎだす。彼女は目の端でフリオの顔色を伺いながら、さらに言葉を続ける。
「私はアルティガルド王族からも評価を頂いて、後宮にも何度も招かれています」
「存じております」
「ですから分かるのですよ」
 ふっと口の端を上げる。
「完成すれば、ここは後宮の中心地。このテラスと花園を中心に、半円状に女たちの部屋が並ぶ設計でしょう」
「さぁ、私にはよく分かりません……」
「しかし、こればかりは――」
 そして、意味深に言葉を溜める。
「はい?」
 不意に途切れた声に、フリオは、怪訝そうに顔を傾げた。
「新興覇者では、やはり規模が物足りません」
「そうですか?」
 素直な声で問う。
「アルテブルグの王宮には、広大な敷地に3千人の美女が集められ、その華やかさは、神代にも見当たらぬほど。長い伝統に培われてこそ、質も量も充実するというものです」
 彼女は顎を上げて声を張っていた。
「そういうものですか」
「……ちぃ」
 気の抜けたフリオの返事に、イラついたように小さく舌打ちをして、その後、堅く口を噤んだ。
 この時、ようやく、サリスに対してアルティガルドの優位性を示したい余りに、己の発言が空回りしていること気付いた。
 手すりの傍のテーブルに、三人は、向かい合って坐る。
「そろそろセリアも雨の季節ですね」
 紅茶に砂糖をたっぷりと加えながら、低い声で呟く。
「ええ、しかし、ここに、雨の季節はありませんよ」
「ですね。本当に雅な場所です。なればこそ、崇高な話もできるというもの」
「左様ですね――」
 フリオは貴族的な優雅な笑みをたたえて、作法どおりに紅茶をすする。
「上帝陛下におかれましては、何よりも犯罪組織の撲滅を第一に願っておられます。これにアルティガルドが協力するのならば、大幅な譲歩も厭わないと」
「なるほど」
 彼女は、尊大にほくそ笑む。


 セリア――。
 鏡のような黒い床、輝くような白い天井、荒々しい砂岩の壁、黄金の柱は細く螺旋状にねじれている。
 上帝府の謁見室で、階の上の黄金張りの豪奢な椅子に、オーギュストが座っている。法衣に似た漆黒色のローブをまとい、膝の上にメルローズを抱いている。
「すごい、さすが、もっと教えて」
 メルローズは、オーギュストの首に手をまわして、然も楽しそうに「きゃきゃ」と黄色い声を上げている。
「場を弁えなさい!」
 そこへミカエラが入室し、早速、顔を真っ赤にして怒鳴った。
「……」
 メルローズは、悪戯の見つかった子犬のように、ばつが悪そうにはにかむ。そして、照れた顔を少し俯き加減にしながら、さっと立ち上がり、ワンピースの裾を整えた。
「ごきげんよう、ミカエラ様」
 それから、平常の慎ましい面持ちで、裾をつまんで軽く持ち上げ、腰を曲げて頭を深々と下げる。
「パンツぐらい履きなさい。ここは後宮じゃないのよ!」
 再び一喝されると、不本意そうに、メルローズはすっと表情を消して、目をきつく細めた。そして、それ以後、ミカエラと視線を合わせず、オーギュストの耳元で「後でね」と囁いてから、奥へと下がっていく。
「やれやれ……」
 ミカエラは、一つ深いため息を落とした。
「これだから、セックスを覚えたての小娘は度し難いのです」
 大袈裟に横に首を振る。
「ミカも大して変わらなかったろう?」
 オーギュストが、にやにやと呟く。
「私はセックスと仕事をちゃんと両立させていました!」
 右手の甲を腰に手を上げて、右脚をやや引き、優艶に脚を交差させて立つ。そして、鋭い視線の下で、挑発的に口の端を上げて微笑む。
「そうだったね」
 苦笑しながら、鷹揚に頬杖をつく。
「あら、信じていないわね」
 首を傾げた後、階を上り、タイトなスカートをたくし上げて、その膝の間に跪いた。
「私の実力を見せてあげる」
 厭うことなくローブの裾を分けて、赤銅色に反り返った威容を取り出す。
「あらら、もうこんな。そんなに小娘の肌は気持ちよかったの?」
「どうだろう?」
 惚けるオーギュストを、上目使いに眺める。
「すぐに私の口で気持ちよくさせてあげる」
 そう告げると、だらだら、と上から涎を垂らして、さらに、舌先で万遍なく塗りつぶしていく。
 ぢゅちゅ、ぢゅるる、
 そして、嚢袋をぱくりと含んで、舌の腹の上で弄び、
 べろっ、べちゅ、べちゃ、
 それから、その筋目にそって、舌をねっとりと這い上がらせていく。
 ぬちゃ、ぬちゅ、ぬちゅっ、
「さあ、喉の奥を衝いて」
 紅い唇で、肉塊の先端を啄み、締め付けるように窄めて、ずるずると根元まで呑み込んでいく。
 がぼっ、ごぼ、ごぷっ、
 垂れ落ちる黄金の髪を後ろへ振り払う。
「むふん、うふん……」
 根元まで深々と咥え込み、苦しげに眉を寄せると、今度は、唇を窄めたまま、ゆっくりと吐き出していく。それを何度も何度も繰り返す。
「む、うんっ、むん、むふん……」
 次第に、口での奉仕に熱を帯びていく。指で玉袋を愛撫し、時に、根元をしごき上げた。
「んっ、ちゅ、ちゅるっ……」
 不意に、どっと強力な淫臭が口一杯に広がる。
 ぢゅる、ぢゅるる、じゅちゃ、
 すぐに頬を窪めて、そのすべてを吸い尽くす。
「ん、ぐ、ぷっ……ぷはあ!」
 大きく口を開いて、嗚咽とともに剛棒を吐き出す。喉の奥から、その先端へと太い唾液の糸がぶらりと伸びている。
「ミカは賢いなぁ」
「当然よ……」
 オーギュストは優しく頭を撫でた。ミカエラは顔中を真っ赤に染めながら、淫蕩に耽った瞳で見上げる。


 調度その頃、上帝府の特別謁見室の手前にある控え室の一つで、一つの会合が行われていた。
 金糸と銀糸で刺繍されたシルクの絨毯、重厚な真赤な壁、アーチ状の窓には深みのある緑のカーテンがかかり、同色の三つのアンティーク調の長椅子がU字形に配置されている。
「失礼致します。大使様をご案内いたしました」
 一人の初老の紳士が、侍従に案内されて入室する。堂々とした口髭をはやし、瞳は涼しげに静まっている。
「どうぞ」
「ご尊顔を拝し奉り、光栄の至りです」
 紳士は、中央の長椅子に座るクリスティーに恭しく挨拶する。そして、頭を下げたまま、視線を左右に素早く配って、顔を微かに顰めた。
 アフロディースが、長い脚を組んで優雅に紅茶を飲み、アポロニアが、頬杖をして睨んでいる。
「大使も、元気そうで何より」
「恐悦です」
 クリスティーが、労いの言葉をかける。
「アルティガルドのお話をゆっくり聞きたいところですが、今日は時間がありません」
「承知しております」
 紳士はアルティガルドの大使である。
 開戦して2ヶ月。戦局は膠着している。サリス軍は国境の要害を越えられず、各地で苦戦をしている。セリアに駐在するアルティガルドの大使は、ここが停戦のタイミングと動き出していた。
 サリス帝国の政治を担うのは、『詩の朗読会』という9人の女性である。
 そのメンバーは、
 クリスティー、
 ヴァレリー、
 カレン、
 アポロニア、
 ミカエラ、
 アフロディース、
 テレジア、
 エヴァ、
 エルザ=マリアである。
 大使は、アルティガルドに留学経験のあるミカエラとは旧知の仲だったが、それ故に接触さえも警戒されている。
 崩すならば、軍部を牛耳るクリスティーであろうと考えた。長年培った人脈と莫大な賄賂で、クリスティーに謁見する機会を得た。だが、ようやく実現したこの場に、敵対するロードレス神国とカイマルク王国の代表者である、アフロディースとアポロニアの二人が同席していることに狼狽を隠せない。
――この女もダメだ……。
 しかし、かと言って、彼女以外の女性たちでは、役不足なのは明らか。粘るしかない、と意を決する。
「上帝陛下の御意思に変化はありません。犯罪組織の討伐のために、租借地、関税権、治外法権の三つを認めてもらえればよいのです」
 クリスティーが、あくまでも柔らかな口調で言う。
 頑迷な、と大使は苦く思う。
「それは法外です。せめて、犯罪組織の調査のために共同作戦をとる、と言うのはどうでしょう」
「それでは到底、上帝陛下は納得なされないでしょう」
 クリスティーは徐に立ち上がり、大使へ背を向けた。
「お待ちを!」
 大使は必死に手を伸ばして、その裾に縋ろうとする。しかし、その前に、アフロディースが割って入った。
「止めなさい」
 鈴のような声で遮り、絵のように美しい微笑を浮かべる。
 大使は、不覚にも、思わず心を奪われて手を止めてしまった。3人の女性は、奥の扉から、隣の部屋へ消えていく。
「迂闊……」
 そして、大使は、深いため息を落とした。


「なるほど。そうか」
 オーギュストは、一段高い玉座で、穏やかに微笑んでいた。
「……」
 その前に立つミカエラは、書簡に目を通しながら、少し不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「あら、お二人とも随分楽しそう」
「うん?」
 クリスティー、アフロディース、アポロニアの3人が近付き、ミカエラと列を成す。
「追っ払ったか?」
「はい――」
 先程とは違い、クリスティーが、冷たく厳しい顔で頷く。
「これで交渉の余地がないことを、本国に連絡することでしょう」
 オーギュストは満足そうに頷く。そして、用意していた書簡の写しを手渡した。
「フリオが立派な仕事をしてくれた」
「あら、珍しい」
 いつもの癖で、つい言ってしまった。声に出してしまったものは仕方がない。ミカエラの無言の視線を、クリスティーは、果敢に迎え撃つ。
 一瞬、視線が交差して、常のように、激しい火花を散らした。
 しかし、すぐに、ミカエラの瞳の色が、『もっとよく読め』と言っていることに、クリスティーは気付く。
「これは!」
 訝しげな面持ちで、文字を追っていくうちに、思わず、驚きの声を上げてしまう。
「面白い事を言うだろ? その似非文化人は」
 オーギュストは屈託ない笑顔で、フリオからの書簡を左手で掲げて、右手でぱちんと弾く。
「俺がカノープスで、ヴィルヘルムがベガだとよ。カノープスは南の極星、ベガは北の極星。二つの極星で、天を回して行こうという意味だろうが、子供っぽい表現だな」
 くすくすと笑いながら、無邪気に女性達に問いかける。
「では問題だ。シリウスは誰だ?」
 しかし、女性達は誰も関心を示さない。
『サリスの後宮がアルティガルドに劣る?』
『それって私たちがブスと言う意味かしら?』
『私も混じっているのに、不本意な評価だ』
『さぞ、アルティガルドの後宮は美しいのでしょうね。精々暴くのが楽しみだわ!』
「……(よく分からんが、関わらない方が賢明だな)」
 女性たちが放つ不穏なオーラに、オーギュストは関わり合いを避ける。
「いかん、もうこんな時間だ。バラの手入れをしないと……」
 いそいそと席を離れた。
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Date:2013/07/21
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